東京高等裁判所 昭和28年(う)331号 判決
被告人 高瀬茂郎
〔抄 録〕
被告人の原判示犯罪事実に誤認のないことは、前叙のとおりである。刑法第二百四十七条にいわゆる財産上の損害を加えたことは、財産的実害発生の危険を生ぜしめた場合をも含むものであるから、被告人が本件不当貸付により本件協同組合に財産上の損害を加えたものであることはもとより言うまでもないところであるが、本件においては、原判決援用の前記証拠によれば、同協同組合においては組合員一人に対する貸付金の最高限度も三万円と定められていたにかかわらず、貸付の許されない組合員以外の者に対し該協同組合の現金二十万円が担保物も設けず保証人も定めず、相当な弁済の保証のないままで交付貸付されたものであることが明らかであるから、本件犯行により右協同組合に与えた損害の額は、後に弁償されるか否かはともかく、該貸付の際においては、原判示のように貸付額と同額に評価すべきことは当然である。原判決は、所論のように法令の解釈適用を誤つたものではない。論旨は理由がない。